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2006年12月 4日 (月)

「指力」  (2006.12.4) WEB限定掲載

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この写真は、八枚の皿。
ビニール袋から取りだしたところ。
あるスーパーの食品売り場のレジで包装された。
卵と、ワインと、そして皿をカートに入れて、レジへ。
レジ係は、食品をまず片づけ、すぐに精算。
それから皿を包むのにほぼ三分弱。
凄い! というか、もし、これくらい当たり前という感覚ならあなたは世界知らずの日本人。
専門店でもなく、スーパーのレジでこんな包装をこの時間でやってのけるというのは、まず絶対に外国ではありえない。
包む順番と重ねる配置を瞬時に考え、たちまち実行できるというのは、
それなりの能力と指先のコントロール力がいる。
やったのは若い店員で、もちろん熟練者というほどでもないパート。
こうした力が、人々からこれからどんどん失われていくという、
この現実はきつい。
今の子供たちの不器用さ、日常的生活の対応力のなさは致命的。
少なくない子がリハビリが必要な老人状態です。
なにしろ、頭の問題もさることながら、まず指の力がない! それをうまく使えないのだから。
いまのところ、いろんな職場での仕事力を培っているのは、けっきょくは忠誠心であり生真面目さだ。
これがどうしようもなく、なくなるだろう。
この国の格差状況を考えると、まったく当然なのだけれど。
自滅です。
というのも、この国の経済成長を支えたのは、開発力でも基礎研究でもなく、
工場でのこうした生真面目さ、器用さと思考力、いわば世界最強の高卒人材力だったのだから。
まあ、しょうがないか。

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