見知らぬ男の肖像
ナタリー・サロート著の「見知らぬ男の肖像」をネットで注文した。
アンチ・ロマンのフランス人作家の代表作。
包装をほどき頁を開くと、レシートが滑り落ちてきた。
東京の古書店のレシートで800円の値がついている。
59.09.29という数字は昭和59年か。
今から24年まえになる。
頁は黄ばみ、ところどころに鉛筆で線が引かれている。
?マークや星印が添えられたところもある。
どんな人が四半世紀前にこれを記したのだろうか、と想像する。
いや、まてよ、と、奥付に目をやった。
発行は昭和35年5月25日。
多くの人々が霞ヶ関を埋め尽くしたちょうどその頃。
この290円の小説をだれがどんな思いで手にしたのだろうか。
本という存在の意味が、レシートとともに、ふわりと膝に舞い降りてきた、そんな今日でした。
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