アンドリュー・ワイエス
アンドリュー・ワイエスが亡くなった。
先月、渋谷で展覧会が開催されていた。
20歳くらいからすでにすばらしい作品を創りだしていたから、ものすごく長いキャリアの画家だったということになる。
NHKのニュースでは画風を「哀愁漂う」というようにな表現していた。
哀愁というと、淡谷のりこの「哀愁あふれるブルース」というフレーズが浮かんできてよくない。
彼の作品はどれも静寂のなかに死の臭いが漂っている。
そこに陽光が当たることで、全体が一瞬にして光り輝く。
その瞬間を写し取る才能は、たとえば写真という技術をも寄せ付けない鋭さがある。
つまり「エッジがきいている」のだ。
いつだったか、「スコール」という作品を見たことがある。
島の家のキッチンとその窓、空の黒雲とそのむこうの奇妙な明るさとが嵐前の異次元的な美しさをみせている。
ざんねんながら、画集ではその迫力は伝わらない。
エッジがないのだ。
そういえばベンヤミンのいうオリジナルに漂うアウラとは、エッジといいかえてもいいかもしれない。
さようなら、ワイエス。
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