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2009年3月20日 (金)

「不可解な事故」 (2009.3.20) WEB限定掲載、書き下ろし

 午前五時五十分、藤沢の踏切で事故があった。報道によると、男が遮断機をくぐって転倒。減速していた電車は間一髪、その手前で停車。ところが「遮断機前 で停車していた藤沢市の牛乳販売業の男性の軽トラックが踏切内に進入、列車と衝突した」(朝日新聞)という。
 ローカルな小さな記事だけど、何度読んでも状況がのみこめない。
 遮断機をくぐった男が転倒、電車が停車までは理解できる。明け方まで飲んで酔っていたのか、よほど急いでいたのか、ケータイに夢中だったのか、電車が近 づいているのに、この男性教諭(48)は、おろかだったという以外にない。
「列車に驚いて転倒、顔の骨折った」というから、おそらく急いでいたり、酔っていたのではなくて、ipodかケータイ操作中で、電車に気づかず遮断機をく ぐったのだろう。そういえば、かつてこうして跳ねられ死亡した青年がいた。ある有名な俳優のご子息。そんな死の予感がまったくない死に方というのは、現実 的には案外少ない。戦場で狙撃されるにしても、それにむかう心理的な態度は少しは形成されているはずだし。そんな死というのはどうなのだろうか?
 しかしそれにしても、軽トラックの事故は謎である。なぜ突っ込むのか? 運転手は35歳。まだ若い。朝の牛乳配達に間に合わないと、イライラがつのり、 キレた? それで暴走したのか? 踏切の遮断機は下りたままのはずだし、停車して遮断機があがるのを待っていたのに、目前の電車にむかってアクセルを踏む にいたる、その動機がいささか狂気じみてもいるが、真実は?
 この二つの事故は偶然に起こっただけで、因果関係はないのだろうか?
 ときどきその詳報、その後を知りたい小さな記事というのが、新聞にはときどきある。

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