キャメルのコート
懐かしいという感覚、ノスタルジーまでいかない手前の、その感じである。
たとえばキャメルのソフトコート。
生地がキャメルなのか、もしかするとカシミアが入っているのかもしれない。
ややオレンジがかった茶である。
襟は幅広で、裾は膝の下まである。
それにそでを通し、さっそうと、曇天の、もしかすると小雨がぱらついているかもしれない、そのなかを傘はなく厳しい表情で突き進む。
黒い手袋、もちろん髪は少し長目のオールバック。
そういう光景を目にすると、なんだか20年前の映画のような気がした。
たしかに、この国は20年前から時間が停止しているのかもしれない。
「DIARY」カテゴリの記事
- バリ・インターナショナル・メディカル・センター(2012.02.21)
- ガス・ヴァン・サント『永遠の僕たち』(2012.01.17)
- 骨の記憶・後記(1)(2011.07.10)
- 骨の記憶・創作記録(8)(2011.07.04)
- 骨の記憶・創作記録(7)(2011.07.02)