百名山
北海道で10人も亡くなった。登山のこと。
強風と冷気が災いしたらしい。
取材で那須の茶臼岳に登ったとき、標高は2000m足らずだったが、尾根をこえるとき、もの凄い強風で吹き飛ばされそうになったことを思いだした。
あとで聞くと、そこは常に強風が吹き、過去に何人もとばされて、亡くなっている人もいる場所だとか。
そのときは台風並の風で、前を行く中年の夫婦はあきらめて下山した。
私たちは岩にへばりつき、はいつくばってその30mほどをのりこえ無事に温泉宿に着いた。
富士山に登ったとき、ちょうど下界は台風で、8合目で死ぬ思いをした。
いや、これは冗談ではなく。
風はたぶん10~15m程度だったが、なにしろ標高が高いので、夏といえども10度をずいぶん下回っていた気がする。
小屋にたどり着いたとき、ストーブに当たりながら、しばらくだれも口を開かなかったことを覚えている。
口がきけなかったのだ。
富士山もバカにできない。
そう言えば「百名山にあと三つです、ハハハ」というようなひとり中年登山者にたしかに出くわす。
あの本「日本の百名山」でしたっけ、ずいぶん罪作りではないか。
« エスプレッソのダブルとは | トップページ | 世界遺産 »
「DIARY」カテゴリの記事
- バリ・インターナショナル・メディカル・センター(2012.02.21)
- ガス・ヴァン・サント『永遠の僕たち』(2012.01.17)
- 骨の記憶・後記(1)(2011.07.10)
- 骨の記憶・創作記録(8)(2011.07.04)
- 骨の記憶・創作記録(7)(2011.07.02)