「金さん銀さんは今どこに」 (2009.11.11) WEB限定掲載、書き下ろし
寒くなると、肩がこる。肩を縮めてすごすから。
「内需拡大」というかけ声を耳にすると、また肩がこる。
そして、「内需拡大」ときくと、かつて目にした「金さん銀さん」のCMを思いだす。「買いたいものもにゃーし、お参りでもいくか」というようなセリフ。
「買いたいものもない」という感覚は、ここ10年くらい全体的に強くなっているような気がする。
おそらく他の先進国の一部の層でも芽生えている傾向だと思う。日本では、若い世代が以前のように「海外旅行」に興味を示さない。森ガールのように、カメ
ラを持って下北沢あたりを徘徊するので充分、というあの感覚。
車がほしい、という強烈な欲望を持った男子も少なくなった。消費にがつがつしていない。
今の若い世代も金さん銀さんだ。
20代と70代の政党支持率傾向がそっくりなのも、そのせいか。
エコ・ポイントというかけ声をかけなければ、買いたいものが見つからないというのが現実。エコ・ポイントがなくなったり、買い換えが一段落したら、家電
メーカーはたいへんだろう。その後は猛烈な家電不況か。
そもそも日本は少子高齢化が世界最高速で進んだ「特殊な国」。先進国のなかでもここ数十年、GDP成長率が最低ラインをつづけているのも、それが主たる
原因。つまりこの国の人口配分の構造と人口横ばい現象が内需拡大をはばんでいるわけで、そのことを、政府も識者も知らないわけでないだろう。
日本は縮みつつある。そんなことを「内需拡大」という声を耳にするたびに考える。
縮むとやっぱり肩がこる。
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