「吹き替えの時代」 (2010.3.19) WEB限定掲載、書き下ろし
BSで何気なくスイッチを入れたら、バーグマンの「追想」をやっていた。
ダラダラと、最後は引きこまれてみてしまう。
最初にテレビで見たのは40年以上前。日曜洋画劇場だった。それからテレビで何回見たか。
当時、吹き替えで、バーグマンの声は、もう亡くなってしまったあの水城蘭子さんだった。
デボラ・カーもやっていたなあ。
「めぐり逢い」「地上より永遠に」。とにかく名声優だ。
彼女のおかげで小学生だった私は、デボラ・カーとイングリッド・バーグマンが同じ人だと思ったりしたのだから。
こちらBSは字幕で、バーグマンの地声(?)は水城さんに比べると、太くて迫力がある。
ともかく、日曜洋画劇場版は、吹き替えのほうが、いいという、めったにない例だった。
水城さんの微妙な震えの入る声は天下一品。
そういえば、最初のころの日曜洋画劇場は吹き替えがよかった。
そうとう選び抜いた、という感じだった。
ときどき「刑事コロンボ」のコロンボの吹き替えの声が番組中にシーンごとに変わったり、「宇宙大作戦」などはカーク船長もスポックも声変わりしていた。
あれは尺をかえて再放送して、声優の都合がつかなくなったのだろうな。それなりに笑えるのですが。
ただ字幕になって分かったのは、ラストの名ぜりふ。
吹き替えでは「幕は下りた、うちへお帰り」(子供ながら耳にこびりついた名セリフ)。
これがきのう確かめると
「The play is over. go home」だった。
「芝居は終わった。帰りなさい」ではつまらない。
待ちかまえる、たくさんの最上級の正装をした亡命貴族たちに「うちへお帰り」というところがね、いいです。
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