高齢者のストーキング
新聞取材を受けてのコメント・メモ
なぜ高齢者のストーキングがここ10年で4倍に増えたか(1)
まずストーキングというのは恋愛行動ではないということ。社会はあたかも
ストーキングを恋愛の延長、あるいは痴情の果ての行為のように見る。これが
誤り。
恋愛はリアルな人間関係のなかで成立する。
ストーキングはそれが壊れたとき、あるいはそもそも成立していないときに
始まる。つまり妄想の世界でスタートする。
高齢者のなかには仕事上のリアルな人間関係をもたない(失った)、子供の
独立、配偶者との別れなどで濃密な家族関係をもたない、近所づきあいもない
人が少なくない。
つまりリアルな人間関係が希薄だという人が、実は若者よりも多いといえ
る。
リアルな人間関係の代用として妄想の人間関係、空想の世界に入りやすい。
それがストーキングを生む下地になる。 ネット社会の登場が高齢者のストーキングを生んでいる。
ネット社会とは年齢差、性別のない平等で匿名性の強い社会。
70才の老人が20才の青年のようにネット上で「活動」できる。12才の少女と70才のおばあさんが平等に存在できるのがネット。
さらにネット上では体力も知力も重視しない。100通の手紙を出すのと100通
のメールを出すのとを比較すると、あきらかに知力体力におけるエネルギーコ
ストに差がある。というよりこの二つは別次元にあるといってもいい。
手紙は手間暇がかかり、エネルギーも使うが、メールは簡単。高齢者もその
便利で簡単なツールを手に入れることができる時代。よってメール攻撃も簡単
にするようになった。
ネットが高齢者にストーキングという活動の場をあたえたともいえる。
昨今のストーキングの増加はネット社会の広がりと軌を一にしている。スト
ーカーのすそ野を広げたのがネット。その一部が暴走しつきまとい、暴力行為
などにいたる。ネット社会の広がりと、高齢者人口の急増という現象が合わさ
って高齢者のストーンキングをうんでいる。
リアルな人間関係が少なくなった高齢者の環境とネット社
会の広がりが高齢者のストーキングを急増させているということになる。
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