日本のお笑いとメディアの関係②
日本のお笑いとメディアの関係②
時代は変わり、クレージーキャッツのあとを嗣ぐようにあらわれたコミックバンドが、ザ・ドリフターズだ。そしてコント55号。彼らこそがテレビにお笑いを定着させた先駆者である。その後、漫才ブームが起こり、よしもとの芸人たちがテレビの「全国区」で活躍するようになる。
お笑いはまず寄席や劇場という空間のライブからスタートし、映画に主軸を移した。喜劇映画は一大ジャンルとして確立されたが、その商業的な衰退とともに消えていく。つぎにやってきたテレビの時代は、昭和世代の人々にとって、これからも永遠に続くように思われた。しかしそれも幻想であったようだ。いまテレビはかつての勢いを失いつつある。
ではつぎに来るのは何か?いうまでもなくネットだ。お笑いも、もはやテレビだけを主舞台にする時代ではなくなりつつある。今回の騒動で、有名タレントがぞくぞくとSNSを使って意見表明したのは、まさにその象徴である。ネットには、独自に制作されたお笑い、バラエティ番組もたくさん生まれている。お笑いタレントたちもテレビと蜜月をつづけているだけでは先細りは免れないと、うすうす感づいているのだろう。
現在は、若い世代ほどテレビ視聴時間が少なく、20代には、ほとんどテレビを見ないという人も珍しくない。彼らはひたすらネットに時間を費やす。そこでは動画や放送で、エンターテイント性の高い情報に接しながら時間を過ごしている。彼らが社会の中心に躍り出るのはもうすぐだ。そのとき、新しいスタイルの「お笑い」が、世にあふれることになっているのかもしれない。
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