DIARY

2012年2月21日 (火)

バリ・インターナショナル・メディカル・センター

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BIMC(バリ・インターナショナル・メディカル・センター)で右足裏にできた傷の治療を受けた。

感染症で腫れあがり、毎日ホテルから病院通い。抗生剤の点滴を打たれ、おかげで、悪化

することもなく帰国。そのときもらったのが、治療用のキット。ホテルと航空機内で使うように

とのこと。

ガーゼはシリコン素材の高級品。日本の医者がこれを見て「へえ、バリでもこんなガーゼを

使うのか」と驚いていた。ちなみにそのクリニックでは普通のガーゼでした。

「遅れている」という東南アジア認識そのものが「遅れている」ともいえるか。

2012年1月17日 (火)

ガス・ヴァン・サント『永遠の僕たち』

ガス・ヴァン・サントの『永遠の僕たち』を見た。といっても昨年のことだけど。余命いくばくもない女と男(少女と少年といってもいい若い二人だが)の悲恋。うんざりするほど生産されてきたステレオタイプのプロットだが、日本人の特攻隊員のゴーストも現れて、人間関係が奇妙なトライアングルで展開するのが、さすがにこの監督の面白いところ。

映像やアングルのセンスはこの作品でも光っている。茶目っ気から主役の少女にめまぐるしい早さで衣装の着せ替えをやらせている。ハリウッド五十年代映画でヒロインが着たような衣装を少し崩した感じで、これがなかなかいい。

トーマス・ヴィターベアの『ディア・ウエンディ』で少年たちが身につけた60年代のサイケデリックファッション(あきらかにジミヘンやジム・モリソンへのオマージュとして)をみたときと同じ驚きを覚えた。ちなみにかつてトーマス・ヴィターベアをインタビューしたとき、「ストイックな作品ではなくエンターテーメントも撮るかも」といっていたけれど、ディア・ウエンディはエッジのきいたエンターテーメントになっていたなあ。

で、『永遠の僕たち』だけれど、ラストの献辞として「デニス・ホッパーに捧ぐ」と出てハッとした。’10に亡くなった彼を偲んだものだが、主役をやったヘンリー・ホッパーは息子だ。映画はアメリカンニューシネマの第二世代に受けつがれているということを実感したしだい。

しかしガス・ヴァン・サントには『ジェリー』『誘う女』『エレファント』のような現代アメリカの実態をつくような作品をもう一度とってほしい。

2011年7月10日 (日)

骨の記憶・後記(1)

実は2部のノンフィクションの核をなす金関丈夫氏の骨格標本は掲載不可となりました。

もちろん、他の標本類の写真は収録されていますが、残念です。

この経緯については、信濃毎日新聞のコラム「パソコンを閉じて」でふれています。読むことができる方はご参考に。

なお、

HBC北海道放送「山ちゃん美香の朝ドキッ!」で永江朗さんが「骨の記憶」を紹介してくれました。http://www.hbc.co.jp/radio/asadoki/book/index.html

感謝です。

2011年7月 4日 (月)

骨の記憶・創作記録(8)

鳥取砂丘の人骨が四体発見された。続報では、たて一列に直線上に西を向いて埋葬されていたということがわかった。骨は丁寧に扱わないと壊れるほど、風化が進んでいるらしい。

鳥取大学医学部に検死をたのんだということだが、おそらく人類学、考古学の範疇に入る出来事だろう。

土井ケ浜遺跡とおなじで、砂中は人骨が残りやすい。相当前に、たとえ弥生時代に埋葬されたことも考えられる。

近年の浜の浸食によって、深く埋葬されたものが、出土したということだろう。

土井ケ浜の研究者は駆けつけたのだろうか?

ただし土井ケ浜では、知る限り、たて一列の埋葬というのはなかったはずだが。

もっとも江戸時代だってないだろうが。

2011年7月 2日 (土)

骨の記憶・創作記録(7)

人類学者の馬場悠男さんと足跡考古学の真家和生さんにおいでいただいて、出版の打ち上げを。

馬場さんはもっか徳川家の霊廟を大調査中。こっそり見せてもらった将軍たちの系図に、頭骨が写真で入っていたのには、びっくりした。

代が新しくなるほどに、「貴族的」になっているのだと。そういえば面長に、口元が小さくなっている。

さらにおもしろいのは骨が朱色に染まっていること。埋葬時に遺体を朱につけ込んだらしい。

ところで、馬場さんは若いころ人類学界の腕相撲チャンピオンだったらしく、それを破ったのが真家さんだとか。当時真家さんはバーベルで鍛えていたらしい。

発掘作業などたしかに体育会系の資質が必要なのかも。

馬場さんの徳川家の骨研究はまとまれば、たぶんNHKスペシャルなどでやりそうなのだが。

2011年7月 1日 (金)

骨の記憶・創作記録(6)

鳥取砂丘で4体の遺体が発見された。風化していて、男女の区別もついていないという。

遺体は一列に並べられて、全員が頭を西に向けている。この一列というのは横に一列なのか、縦に一列なのかわからないが、西に頭を向けているというのは奇妙である。

「骨の記憶」で取材にいった、鳥取とおなじ山陰地方の土井ケ浜遺跡は弥生人の人骨が多数発掘されている。

全員大陸の方角に頭がむいていたので、渡来人ではないかという説があるが、確定していない。

土井ケ浜ミュージアムの学芸員の方は渡来人ではないという見方らしい。

それにしても鳥取砂丘の遺体はだれなのか。もしかすると、かなり古いのかもしれない。

弥生時代の人々ということはないのだろうか?

2011年6月27日 (月)

骨の記憶・創作記録(5)

Photo

 人骨に独特のかすかな臭いがあるような気がする。そう感じるのは、きっと私だけかもしれない。視線の確度が微妙にずれて置かれている標本棚は、生前の人物の気配がする。

以下は「骨の記憶」の内容紹介です。

第1部 小説「空に舞う君へ」
2000年カミサマのプラスチック、2020年冬空のホームタウン 1988年遺体はジャスミンの香り……など、過去から近未来の出来事が、やがて一つの悲劇へと結実していく。

第2部 ノンフィクション「骨格標本になった人類学者」
其の1・化石、其の2・足跡、其の3・解剖、其の4・標本と、取材を通して明らかになっていく恐るべき事実。日本にはみずから骨格標本になった信念の人類学者がいた!

巻末 ミニ写真集「語りだす骨たち」
取材で出会った人骨、動物骨格標本など12点を収める。

2011年6月24日 (金)

視点の収録

いつものように編集なし、撮り直しなし、一発勝負の収録だったけれど、確認のために再生ビデオをみていると、印象として、ネット上の文章がすべて完成度が低いと主張しているかのようにもきこえて反省。

途中でしっかり「中にはそういうものもある」といっているのだが、テレビというのは結局最後のセリフが残ってしまい、それがすべてに思えてくる。

この番組に出ていた某テレビ著名人は冒頭の言葉を最後にもう一度繰り返す、それがモノローグのこつ といっていたらしいが、なるほどと思います。

2011年6月23日 (木)

視点・論点の収録

本日はNHK「視点・論点」。夜の収録なので、今朝の時点では、話がまとまっていない。

『文は一行目から書かなくていい』に関連したテーマになるということは決めているけれど、つめが未だ。

かつての文章は個から個、あるいは個から多数へと伝えられた。発信者の個には有名性があった。ネット時代の文章においての特徴は匿名の個が不特定多数にメッセージを送ることができるということ。

短文化、鮮度至上主義、他人の文章の自在な加工・編集などあるけれど、どこまでふれられるか。

『文は一行目から書かなくていい』は有名ビジネス・ブロガーにたくさんとりあげてもらった。ある編集者はN新聞あたりに、それらの人々の推薦入りの広告をうつと、すぐに「動く」、もったいない、というのだが……。

放送日は1日の予定。

2011年6月22日 (水)

骨の記憶・創作記録(4)

Photo

人体の不思議展の「素材」調達が不明朗で、倫理的にも問題があるという話題とからめて、みずから骨格標本になった学者がいるという話を、以前、ある番組でした。

視聴者からのリアクションは、ときどきおかしなものがある。

ある番組に暴走老人テーマで出演したら、着ていた服のブランドを教えてくれというような問い合わせがあった。

で、この骨格標本の話は、もっとおかしくて、自分も「ミイラ」(骨格標本ではなく)になりたいので、やっている病院を教えてくれと、問い合わせがあったのだ。もちろん番組スタッフは断ったという。そんな病院はないのだから、教えることはできない。

この世の中には自分をミイラにしたいと考える人がいる。不思議である。

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2011年5月30日発売
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2009年12月10日発売
定価533円(税込)
集英社文庫「脳の力こぶ」
(集英社)
2009年3月18日発売
定価500円(税込)
朝日新書「検索バカ」
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2008年7月24日発売
定価580円(税込)
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